top of page
検索
執筆者の写真藤島えり子

少し、10月のことを

10月10日で国際芸術祭あいち2022が終了しました。 皆さんご覧になりました? 私は結局栄の会場しか行けませんでした。 一宮が良いとの噂で、行きたかったのですが叶わず…無念。 3年前までのあいちトリエンナーレから名称を変更した国際芸術祭あいち。

過去、私は2016年はroom16で、2019年にはオイスターズで連携事業にご縁があって関わってきました。 今回2022年は8月にジョン・ケージ「ユーロペラ3&4」に蓄音機パフォーマーとして、そして会期ラストを締めくくるパフォーミングアーツ、百瀬文「クローラー」に出演していました。

 

我ながらこんなに密に芸術祭に関われる俳優になるとは思ってなかったのでびっくりです。今回は特に、ジャンルで言うと演劇ではなく、現代音楽と美術分野だったので余計に。人生何があるか分からない。

 

さて「クローラー」ですが 愛知県芸術劇場小ホールに浅くて広いプールをつくって、その中で鑑賞者と1対1で20分パフォーマンスする、鑑賞者にとってもパフォーマーにとっても贅沢な上演でした。 メインテーマは「女性の性」と「障がい者の性」。 タブー視されがちな二つのことに真っ向から取り組んだ意欲的な作品でした。 脳性まひの障害を持つ女性のモノローグによって語られる自身のこと。障がいのこと、性的嗜好のことから自慰行為のこと、それに至る理由、ささやかな憧れ。 その思いを具象化するような照明、浅いプール、水音、車いすに乗る経験、暗闇から現れる女性。 それらに触れる鑑賞者の反応は本当に様々で、涙を流す人もいれば、絡まった思考を解きほぐそうとする人、今まで知らなかった存在を知ることで雷に打たれたような人もいました。 私は暗闇から現れる女性を担い、5日間で50人以上の方と向き合いました。与えられた環境のなか、ひとりひとりと向き合う時間は本当に面白くて、エキサイティングでした。暗闇からぴちゃぴちゃと足音先行で現れるので、怖がられたりは結構ありましたし逃げられたこともありました笑 その反応も、生物たる防御本能で然るべき反応だよなぁ、と納得がいくし、逆に逃げない人たちの「根拠のない、作品に対する信頼」に危機感を感じたりもして、刺激がいっぱいでした。 1人20分、同時に2人のパフォーマンスで チケットは200枚くらい?のみの販売だったため即完売。 体験できた方は超ラッキーな方でした。私も体験してみたかった! 鑑賞者が乗る車いすを押している時間は、自分の年齢も性別も邪気もなくなって、空を飛んでいるような感覚で、そのまま消えてしまいそうでした。(全然嫌な感覚ではない) 再演はなかなか難しそうではありますが、もっと多くの方に届くことを願います。発見と思考を伴う素晴らしい作品でした。 ありがとうございました。 また3年後も、素敵な作品と出逢えることを祈り精進します。


ステージナタリー記事 https://natalie.mu/stage/news/495354 国際芸術祭あいち2022オフィシャルページ-百瀬文さん https://aichitriennale.jp/artists/momose-aya.html



閲覧数:25回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page