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執筆者の写真藤島えり子

祖母の話

私の祖母は今月89歳を迎える。

夫を20年前に亡くして、今も団地で一人暮らしをしている。

祖父と二人で静かに過ごしたい、と言う。

(娘に迷惑かけたくない、とか娘の家(私から言うと実家)に馴染めないせいかも知れないけれど。)


祖父も祖母も関東の生まれで50年以上前に仕事のため福岡に移り住み、そのまま福岡で暮らしている。そのためかは分からないけれど、祖父の遺骨は祖母の家の仏壇に今も置いてある。


私が訪ねる時も「お父さん、えりちゃんが来てくれましたよ」と遺骨と遺影に話しかけその時の祖母の顔はいつだって幸せそうで、いつも少しうらやましく思う。

一緒に住まないか、という話をすれば「お父さんがいるから大丈夫」と。


確かに祖母の気持ち的には「大丈夫」なんだろうけれど、現実的には祖母に何かあった時、祖父は手を取って助けてくれない。

それを伝えるのは野暮だと思いながらも、頭をよぎらずにいられない。


おじいちゃんはもういないんだよ


 

そんなことを、最近よく考えています。

現在私が創作にあたっている「夫のオリカタ」の内容、

そして先日3年ぶりくらいに祖母に会ったことが影響しているんでしょう。


前々から祖母は「早くお父さんのところに行きたいわ」とこぼすのだけど

いくら祖母が年齢の割に元気であるとは言え、少しづつ現実味を帯びてきているような気がしています。

そして祖母と祖父の距離感と存在の認知、みたいなのが一体どういう感じなのだろうと

「私自身が考えてみるべきタイミング」になっているように思います。


これを読んでる方には何言ってんだよって感じだと思うんですけど、

今このタイミングでこう考えるのは「夫のオリカタ」がさせていることだと感じています。

役者をやっていると、不意にこうして個人的なことに踏み込まざるを得ないことがよくあります。(いい意味でも悪い意味でも)

そこを掘っていくことで説得力が生まれる、という法則みたいなものも私の中にあります。

私生活を利用しているみたいで嫌だなぁという気持ちといつも葛藤します。こうしてブログにするのも然り。全然割り切れません笑


だから何だよって話なんですけど、書き留めておこうかなと思った。それだけです。

この書き留めたことが公演後、また違う見え方をするんじゃないかな、と少し期待して稽古に励みます。



 

劇団蒼天の猫標識 道草Route4「夫のオリカタ」情報は



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